美容液コラム3

それからも

その販売店には後に何回かお邪魔することになりました。

2回目の訪問は、友人がまだ学校を卒業もしていないのに基礎化粧品のセットを早々と手に入れた時でした。
単なるつきそいでしたが友達がどんなものを買ったのか興味があったのでついて行ったのです。一番気になったのは、美容液を買ったのかどうかということでした。

 

結果は、高校生には必要ないと言っていたけどセットで買うと特典があったので、美容液もまとめて購入したようです。メイクボックスに隙間無く入った基礎化粧品を見ると、高校生だというのに決して安くないセットをすべて手に入れたのが本当にうらやましかったです。

 

その後、私もこつこつ貯めたバイト代で化粧水と乳液を買いました。友達ほど働いてなかったので、セットを手に入れられず、やっぱり美容液を手にすることはありませんでした。
高校を卒業すると毎日会っていた友達Aさんとはたまにしか会えなくなりました。

 

しばらく見ないうちに、もともと綺麗な肌がよりいっそう綺麗になっていました。それは当然ですよね。若さはもちろんありますが、それに美容液をプラスするとこんなにも違うのか?と久しぶりに友達と話しながらも考えていました。

 

それでも私は、自分自身に大金をはたいて美容液を手に入れようとはしませんでした。もともと、もち肌じゃないから美容液をつけたって変らないだろうと決め付けることで、友達との肌の美しさの差を自分自身にいいわけしていたのかもしれません。

 

 

そうやって自分をごまかしていたのですが、就職して数ヶ月ぶりに会う友達Bさんも高校生の時とは違ってどんどん綺麗になっていました。Bさんは一般的なお店で売られている化粧品を使っていましたが、いい話があるからということであまり聞いたことのない訪問販売の化粧品店に行きました。

 

化粧品のことは、Aさんの使っている化粧品店でだいたい学習したのでわかったつもりでしたが、メーカーが違うとそれぞれに特徴があって基礎の化粧品の必要性や肌の仕組みなどの話が同じようであっても、説明は全く違うものでしたね。
こちらの化粧品はたとえ若くても美容液やクリームを使って、今の若さをキープしましょうという考え方でした。どっちの話を信じればいいのかなぁ?とまだまだ若かった私は化粧品の矛盾に戸惑いながらも洗顔、化粧水を体験した後、とうとう美容液を使うことになりました。

 

その美容液の入れ物はクリームを入れるような蓋を回して閉めるタイプの丸い形で、中の美容液が良く見えるように容器は透明になっていました。そしてその美容液は透明のゼリー状で、美容液と言うよりは美容ゲルでした。なんと言ってもその中にはきらきらした『金箔』がたくさん入っていました。

 

第一印象は、「うわっ、高そう!」の一言につきますが、「顔につけたらあの『金箔』はどうなるのだろう?」と私の頭には、友達の顔や自分の顔に金箔がちりばめられた状態が浮かんできました。

 

そんなことを考えているうちに販売員さんに美容ゲルの入れ物と小さなヘラを渡されて
「このヘラでひとすくいして、手の甲に乗せてください。それを顔に丁寧に塗り広げてね。」
とすすめられ、言われた手順どおり手に取り、顔に塗り始めました。

 

すると私の考えていたとおり顔は金箔だらけになったものの、つけているうちに金箔は消えてなくなってしまいました。

 

金といえば固体のアクセサリーを思い浮かべるのですぐ消えたことに驚きました。『金箔』も、今なら食べたりするのでそれほど不思議に思うこともないでしょうが、その当時の私にはそんな情報が無かったのでびっくりでした。つけ心地も思ったよりべたべたせずさらっとしていました。

 

 こんな風にいかにも肌によさそうな金箔の入った美容ゲルだったのですぐに欲しくなりました。

 

でも、社会人一年生の私には即決できる金額ではありませんでした。そのとき、友達Aさんが買ったメイクボックスが思い浮かび、綺麗になるためには彼女みたいに思い切って自分に投資しないと!と、清水の舞台から飛び降りる思いで、美容ゲルだけでなく他の商品もまとめて決断しました。

 

 「じゃあ、買います。」
と宣言してからは、店を出るまでが長かったです。 

 

商品を受け取って帰るまで、生まれて初めての高価な化粧品にドキドキもしましたし、何度も「本当に買っちゃってもいいのかしら?いやいや、良いに決まってるじゃない?!」と、自問自答を繰り返し、やっと家に帰って夜のお風呂上りに使うときには、まだ綺麗になってもいないのに、ニコニコすることを抑えることができなかったです。

 

 

美容液のお話4へ続く